玉子は貴重な蛋白源

 封切りを心待ちにしていた山田洋次監督の新作、映画「母べい」を先日見た。「こんな映画を俺はつくりたっかったんだ」という監督の意気込みがつたわる映画だった。わたしは、これまでの山田組作品の中で、ベストスリーの上位にあげたいと密かに思っている。

映画のドラマ展開に関係ないが、母べい(吉永小百合)の家の庭先で鶏を2羽飼っていた。ちゃぶ台を囲みながらの食事場面に玉子かけご飯がよく登場したり、父べいのいなくなった家族になにかと力になってやる山ちゃんへいつも腹を空かしている照べいが産みたての玉子を1個お礼に差しあげる。また、戦争が拡大することにより治安維持法が制定され、それを取締る特攻警察は,銃後を守る庶民の食事とはだいぶかけ離れていた。彼等は、毎夜酒宴を開き、牛肉のすき焼き、刺身を口にし玉子が食台におかれ美食を楽しむ。毎日の食糧に事欠き清貧の母べい家にとって鶏は、夏の暑さにも、冬の寒さにも、粗食にさえ耐えながら玉子を産んでくれる。母べいたちが前向きに生きたその背景には、庶民にエネルギーを供給し続けてきた優秀な玉子有り!?

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