春は薪割りからはじまる No.5

薪割りをしていると自然界の昆虫のひっそりとした生息域に遭遇することがある。昨年秋、山から伐出したナラの幹に繊維を噛み砕きトンネル内に卵を産み冬を越しながら眠っていたカミキリムシの蛹と成虫に出会った。小学生の頃、カブト虫、クワガタ、セミ、バッタなどを補虫しながら林の中を駆けまわった昆虫少年でさえもこのような場面を垣間見ることはできなかった。蛹はトンネルの奥に頭部を確保しながら、ナラの繊維を餌にし後方には3センチくらいの長さの繊維をからみ合わせ、入口を塞いでいた。成虫は、暖かくなったからそろそろ自分の顎を使いトンネル内部を噛み砕きながら、自然界への巣立だとうとしていたのだろう。カミキリムシのスタイルの特徴である触角は、身長より長く立派に後ろに伸び、大顎、脚ともがっしりしていた。つかみ取ると「キーキー」と威嚇の声を発し、つかんだ指に向かい噛み付こうとする。このように幼虫は発見できなかったが、蛹と成虫が同時に見ることができたことは、木の幹の中で卵から成虫まで数年間すごしていることが理解できた。

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幹が太く固い場合はエンジン油圧の薪割り機を使う

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カミキリムシの蛹

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立派な成虫