ミツバチ日記  No.3

白や黄、橙の花粉に
鮮やかに染まりながら、
かすかな羽音を残して
飛び立つミツバチ。
木々の若葉が芽吹くと花を訪れ
体重の半分もの花蜜を採取し、
巣房へ持ち帰るミツバチ。
人間とともに約8000年前から
深くかかわってきた
社会性昆虫に興味はつきない。

花咲く牧場と鳥が歌い、
ハチミツがたっぷりある森は
「乳と蜜の流がるる里」(旧約聖書)
といわれている。
そんな桃源郷のような世界で
生命は自然と共に
循環しているようだ。

養蜂を始めて7年になる。出発の動機は、本物のハチミツを多くの人たちに認知してもらうことであった。気負った使命感のようなものを抱きミツバチを取り寄せたことを覚えている。
前記の私の創作した詩の中にあるように、太古の昔からユートピアは「乳と蜜の流れる里」と表現されていた。また紀元前400年前後のギリシャの医学者、ヒポクラテスは「乳はもっとも完全に近い食物である」と述べた。日本でも1000年も昔に乳製品(蘇)とハチミツが朝廷や貴族への貢納品となっていた。そのハチミツの国内産は、1割にも満たず9割近くを中国から輸入している。それも水飴や加糖の混入した偽装にも近い密が大量に日本の市場に出回っている。それを容認している公正取引委員会に対し大きな憤りを持っている。少しづつだが、私のハチミツを始めて試食し、本来持っているハチミツの香りと味に驚いた人が多い。採蜜期になると忘れないで注文の声をかけてくれる人が増え、花の恵みと人とミツバチの共存に理解を示す広がりが形成されていることは、嬉しいことだと思っている。

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女王蜂は1日2,000個の卵を産む 巣箱の中は働き蜂とオス蜂で一杯になる

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巣門の前は花を求めて飛び立つ蜂と花密と花粉を採取した働き蜂とのラッシュアワーが続く

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花密は巣版の表裏の巣穴につめられ蜂は羽であおぎ水分を蒸発させハチミツにする。熟成するとロウで穴を封印する。上の写真は半分の白い部分が熟成した蜜

ミツバチ日記  No.2

ミツバチを飼育すると約一週間に一度、巣箱の中を点検しなければならない。女王蜂が1匹必ずいるか。卵、幼虫の生育状況。蜂蜜、花粉の収集量などを巣箱を開きながら点検していく。私は一番この作業に気が引ける。何故ならミツバチに刺されないよう白い服、帽子、面布、手袋、長靴を身に付ける。養蜂を始めた頃は巣箱を手荒く扱うと蜂に刺され、途中で逃げ出せなく痛みとかゆみ、冷や汗と夏の熱さで頭がくらくらした。ミツバチにとっては侵入者に対し、威嚇攻撃するのは本能だし「蜂の一刺し」というように刺し針はカギ型になっているから、腹の内臓が飛出しミツバチにとって一生を尽きるからやたらに命を粗末にしない昆虫である。
蜜源植物の花が咲き始めるこの時期、女王蜂1匹とオス蜂300匹、働き蜂(雌蜂)2万〜3万匹で一つの群れを形成している。

働き蜂が巣箱からはみ出している。


巣箱の上にもう一段継箱をのせた。