世に樹医という職種があることを知ったのはいつの頃だろうか。10年ほど前、故山野忠彦さんが枯れつつある老木を診察、治療しながら命を吹き込み蘇らせるテレビ番組を見たときに、樹医の職業に尊敬と憧れを抱いたのを覚えている。
5年前に1本の南光梅の苗木を植えた。梅の木は成長が早いので枝の剪定をこまめにやらなければならない。もうすぐ実がなるかも知れないと期待していたとき、06豪雪に遭い、降雪と屋根の落雪で瀕死の状態になった。私は、二股に幹をわけるように樹勢を剪定していたのが災いとなり、雪の重荷で見事に股からまっ二つに幹が裂けてしまい、幹は根元から倒れ枝もほとんどが折れた。ブルーベリー、梨、柿さくらんぼなどの果樹も被害に遭っていた。梅の木はもう蘇らないと諦めていたとき、樹医師の山野忠彦さんのことが浮んだ。投げ出すよりまず手当てから始めようと、二つに裂けた幹を引合わせ荒縄をぐるぐる巻き付けた。そして傾いた幹は、根元に土を寄せ添え木をニ本交わせ、折れた枝はきれいに剪定してやった。あれから3年目の春を迎えた梅の木は、1個の実を結んでくれた。梅にとって、もちろん私にも宝のような実であり、試練の乗り越えたいのちの輝きの結実だと思っている。
再びよみがえった南光梅 樹勢を二股にしたかったが右の幹は残念ながら枯れてしまった。しかし、その脇から小枝が伸びている
左横の太い木は添え木として立ってい
左隅は鶏舎 否鶏小屋かな