春から初夏へと季節が移り、畑作業にかまけて薪割りの公開が遅くなってしまった。雪消えとともに3月16日、薪割りは終了していた。残雪の山から雑木(主にナラ)を間伐し軽トラで家まで運んできた頃は、麓のマンサクがほころび始めていた頃だった。
薪割りの道具は、チェーンソー、斧、楔、ハンマーなどを使い危険を伴うから「安全第一」、「人間第一」がモットーだ。また足、腰、腕、思考力を全身で駆使するスポーツと考え気軽にやるとしょう! まずストーブの大きさを確認し焚き口の大きさに合わせ、我が家の冬の主人(あるじ)は許容範囲40cmの長さに丸太を玉伐っていく。直径30cm以上はチェンソーを使いそれ以下は電動丸ノコを使っている。チェーンソーは最も注意しなければならない道具と言えるだろう。エンジン音とバーに沿ってチェーンが高速回転しながら、木質を刻み作業効率が早い。しかし誤るとノッキングや丸太の反動により思わぬケガに見舞われる。作業をする前に周囲のスペースを広くとり、チェーンの目立てを怠るべからず。チェーンの刃が何の負荷を加えることなくスーと丸太に伐り入る時は、樵人として気持ちのいいものだ。
つぎに最も体力を要する薪割りヘと移る。しかし体力も去る事ながら、気持ちを鎮め精神を集中し斧の一撃で薪を割るから精神修行にもなるのでは。薪を1本台の上に立て、腰と腕を使い斧を振る。その動作の繰り返しなのだが、たかが薪割りされど薪割りで奥の深い作業でもあるのだ。木は空に向かって伸び成長していくことを想像すると、年輪が多い下から上に向かうにしたがい木質は柔らかく柔軟性がある。柾目に沿って割るわけだから逆に立てることによって斧の刃が入り易くなる。また節などが入っていると難渋するので、刃が何処に入ったら割れ易いかの方向性も考えなければならない。斧は単に力任せに振りかざすのではなく、腰に負担がかからないように、遠心力と落下を利用し薪を割っていく。畑仕事でも畝を作ったり整地するときに鍬を使うとき、ムダな力は使わないよう心がけている。
さていよいよ薪積みにはいる。自然派志向や化石燃料の高騰など薪ストーブを使用する家庭が増えている。屋根に立つ煙突よりも軒下に薪が積んであるのを見るだけでそのことが分かる。全国の街の生活様子がテレビ中継されているとき、画面に積んだ薪が写し出されるとその家族に親近感を抱いてしまう。薪積みは、春から秋までの半年余、燃えやすいように乾燥するために積み上げる。雨や風に合うので防水を施し、崩れないようバランス良く丈夫に積まなければならない。薪は割口を上にすることによって乾燥を速め、太い、細いをうまく織りまぜ、端の両側は井桁積みにする。
初冬には、積んだ薪を一輪車で家の中に運び入れ、再び薪積みをする。
端は崩れないように井桁に積む 3月16日
家の西側に積み乾燥させ初冬には家の中に運び再び積み直す 4月下旬
枝下ろしした小枝も焚付け用として大切な薪となる 4月下旬